2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

デイヴィッド・アンブローズ『偶然のラビリンス』

『迷宮の暗殺者』のあの作家ですよ。新刊出ましたよ。でも、つまんなかったー。『奇偶』ミーツ『魔法』(もしくは『奇術師』)って感じなのかなあと思って読み進めると、結構壮大な設定をぶち壊す「必ず最後に愛は勝つ」的なオチにぶち当たって萎えに萎えた…

フル・モンティ

しまったこれはもっと早く見ておくべきだった。若くなくて、失業中で、おまけに風貌もみすぼらしい、それって最高!と思ってしまうような、負け犬達の限りなく微笑ましい再生の物語。主人公達のアホ頭と、その寂しい境遇の描き方のバランスが巧くって、笑い…

ダンス・ウィズ・ミー

踊りまくり。何やら公式に『Shall we ダンス?』の影響を受けているということになっている映画らしいのだけど、あの映画みたいに極上の脚本と極上の演技で説得する、という感じではなく、人物の心情はほぼ全部ダンスで説明します。これがなかなかの説得力。…

私の愛情の対象

素晴らしーい!ゲイが絡むロマンティック・コメディとしては最高水準じゃないだろうか。出て来るゲイがいちいち魅力的で、その上扱いも政治的に問題なし。何より主演のポール・ラッドをゲイとしてここまでチャーミングに撮った功績を大声で褒め称えたい。 い…

ロミー&ミッシェル

アメリカの高校というのがもう全く醜悪な階級社会で、ここに属していた人達は10年経った同窓会でも根性がそのまんま。そして主人公の頭空っぽブロンド女二人(高校時代はいわゆるloser)の痛々しさもそのまんま。 彼女達の痛々しさはホンモノで、見てるこち…

ヘンリイ・スレッサー『うまい犯罪、しゃれた殺人』

分をわきまえないバカが巧いことやろうとして結局バカを見る話か、バカのふりしたこずるい奴が巧いことやる話のどっちか×16。さすがに古いのでオチはすんなり読めてしまう話ばかりだけれど、おのおのの話で描かれるバカどもの卑小さ・愚かさはなるほどチャー…

エリン・ブロコビッチ

クソ大企業を相手に一歩も引かず戦って高額な賠償金をぶんどる、というアツいお話と、ソダーバーグの例によって例のごとしなスカした撮り方が、ちょうどいい具合にバランス取れてる。主演のジュリア・ロバーツとその相棒のアルバート・フィニーの丁々発止の…

西澤保彦『生贄を抱く夜』

チョーモンインシリーズ短編集。読むのが遅れたのは興味が薄れていたからです。でもこれすごいなー。全然ミステリじゃなくなってるんだもの。“歪んだ心理”以外の要素を描くのはもうめんどくさくなっちゃった、と言わんばかり。犯罪も超能力も全部ただの小道…

スウィート・ノベンバー

これで綺麗な終わり方とするというのはいいのだろうか。仮にもメジャー大作なんだからもう少し前向きなほうが。少しくらい嘘臭くたって、王子様たるキアヌ・リーヴスがいるんだから女性向けラブストーリーとしては全く問題ないと思う。無理に男性主人公視点…

ダグラス・アダムス『銀河ヒッチハイク・ガイド』

あー、これでみんながマーヴィンマーヴィン言ってるわけがわかった。マーヴィンのorzっぷりはまさに最強。ラスト前の大活躍には笑わせてもらった。他にもネズミとかイルカとかクジラとか、ヴォゴン人にディープ・ソートの「42」!腰が砕けるような、わくわく…

悪魔の呼ぶ海へ

原作付きの映画ということなんだが、これはもう『スウィート・ヒアアフター』をやりたかったんでしょう。主演の一人に堂々とサラ・ポーリーを持って来てる(役柄もそっくり)ところからしてそうとしか思えない。 あちらに比べると普通の意味でのサスペンスっ…

フェノミナン

『アルジャーノンに花束を』の翻案みたいなちょっとヘンな話が無理矢理ハートウォーミングなオチに向かって落とし込まれて格好が悪い。終盤完全に難病ものになってしまうのはどうかと思った。ラストで流れ出す例の主題歌の使い方もあざとすぎ。 ヒロインのキ…

クール・ランニング

ジャマイカ初のボブスレーチームのオリンピック出場(実話)という、下手するとワイドショーのほのぼのネタになってしまいそうな題材をきっちり制御してしっかりまとめたという感じ。ちょっとエンディングに納得がいかないんだが、ほどよくいい話で、キャラ…

コリーナ、コリーナ

これはすごい。ほとんど疵が無い。参った。母親の欠けた父子家庭に風変わりな家政婦がやって来てその穴を埋める、というベタベタになってしまいそうな話を見事に上品に仕上げて、それでいてちゃんと泣かせてくれる。話題に上らせたくなる印象的なシーンもた…

ふたりにクギづけ

なるほどー。これは確かにいつものファレリー兄弟と違う感じ。いつも通り過激なネタを扱ってはいるものの、凝ったギャグもやりすぎ演出も控えめで、何と言うか、いっそ他愛無いと言ってもよさそうなくらいの映画。 ただ、それでも面白いのは映画全編に漂う(…

六塚光『タマラセ サイボーグは果実を愛する』

三巻目。男二人に女三人というレギュラーキャラ配置が固まりました。試みに涼宮ハルヒシリーズのキャラにそのポジションを当てはめてみると、三助→キョン、夏月→みくる、九里浜→ハルヒ、長坂→小泉、伊勢谷→長門、となります。ほとんど意味はないが。 お話は…

ファミリー・ゲーム

お話は「ふたりのロッテ」。子役時代のリンゼイ・ローハンがすごく可愛い。いたずらもするけれど、基本的にはちょっとありえないくらい健気、というキャラクターがビシバシ伝わって来る。だから両親の再婚をしっかり応援できるのだけど、終盤はちょっと引っ…

レザレクション

これもつまんね。ただ単に退屈な出来なので、ある意味刺激的ではあった『ザ・スカルズ』よりも満足度はさらに低い。中盤まではお約束を愚直になぞるだけであっても一応サイコ・スリラーの体をなしていたのに、中盤以降は普通の刑事ドラマになっちゃって、お…

ザ・スカルズ 髑髏の誓い

覚悟はしていたが猛烈につまらなかった。これで監督ロブ・コーエンというのは本当に謎だ。とにかく、若者が一人で巨悪フリーメーソンに立ち向かうという突拍子のない(としか僕には思えない)設定に説得力がなさすぎて、もう見ている方は置いてかれること置…

六塚光『タマラセ 探偵はドリルで突つかれる』

シリーズ二巻目。早くも面白くなくなった。主人公の信用できない語り手っぷりが大幅にダウンしたのと、ギャグ→シリアス、シリアス→ギャグの切り替えがスムーズでないのがその原因と思われます。前作の重要キャラが何の説明も無しにいなくなって、代わりに唐…

六塚光『タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔』

これは丸っきり西尾維新ですね。零崎一賊シリーズあたりの路線の西尾維新から各方面へのアピール欲を全て取り払えばこうなると思います。西尾の戯言垂れ流し文体がウザったくて苦手という人はこっちのほうが気に入るかも。肝心のタマラセバトルの場面にあま…

イン・ドリームス 殺意の森

やたらと幻想的でなんとも不穏な映像が、サスペンスの文脈の中から自然に現れる。これに主演のアネット・ベニングの追い詰められ演技が加わって、途中まではかなり面白い。でもサイコキラーに反撃を開始するあたりから面白くなくなった。どうしてだろう。ア…

ウィル・マッカーシイ『アグレッサー・シックス』

部分部分は面白いところもあるのだけど、全体としてはよくわからなかったという感じ。何か、ストーリー進行のページ配分が狂っているのではないかと思う。終盤で唐突にダッシュし出すその展開に腰が砕けました。 面白かったところは、作戦メンバーが敵対する…

ファンタスティック・フォー

わりとコメディ要素が強めだった『ヘルボーイ』の100倍は脳天気。このお気楽さはアメコミ映画化の中では随一でしょう。作りはかなりユルいのだけど、細かい所のギャグとキャラの立て方がなんとも微笑ましいので笑って観ていられる。 ただ、アクションシーン…

スチュアート・リトル2

続編ということでスチュアート君(ネズミ)のお相手が出て来ました。小鳥のマーガロです。このマーガロの抱える孤独と、それを解かしてゆくリトル家の暖かみ、というあたりの描き方に説得力があって良い。だからこそクライマックスで颯爽と滑空するスチュア…

アイ・ラブ・トラブル

ジュリア・ロバーツがなかなか可愛らしく撮られているし、ライバル紙の記者ニック・ノルティとのしのぎ合いも痛快かつロマンチックでいい感じなのだけど、ほぼ同じ展開の繰り返しがずーっと続くので途中でちょっと飽きた。一度この二人の間に決定的な仲違い…

小林めぐみ『食卓にビールを4』

いつも通りとしか言いようのない4巻目。1巻みたいな趣向も2巻みたいな長い話も3巻みたいなちょっぴりシリアス要素もありません。しかしだからこそ和む。もうやんなるくらい。 集中のベストは全てを飲み込む女の子の姦しさが微笑ましい「合宿篇」と絵的にダイ…

マンリイ・ウェイド・ウェルマン『ルネサンスへ飛んだ男』

タイムスリップもの。最近発掘された1940年発表作ということがなるほど納得される(古さゆえの)天真爛漫さ全開。主人公が知識が豊富で頭も良くフェンシングも出来る美男子というスーパー設定にまず引くんだけど、それどころじゃないのが展開の速さ。恋に落…

救命士

頭のおかしい人と、頭がおかしくなりそうな環境。どちらもものすごく説得力のある描き方をされていて、見てるとそのあまりのヒドさに返って笑みがこぼれて来てしまう始末。最近、もしかしたら自分はニコラス・ケイジが好きなのではないだろうか、と思い始め…

ファーゴ

「雪に閉ざされた田舎町でバカどもがぶつかりあった結果死体の山が」もの。出てくる人はみんな、何かにウンザリしてるか何考えてるかわからないかのどちらかで、そのうち前者のウンザリ感が映画全体を支配していると言ってよい。女性警察署長役のフランシス…