2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

友桐夏『白い花の舞い散る時間』

「チャット仲間が初めてのオフ会で謎の屋敷に集まったら、奇妙な出来事が起こり始め……」ってな昔懐かし新本格風の発端から、女の子版『ネバーランド』(恩田陸)といった展開の中盤に転び、ラストに至って不意打ちのように襲いくるちょっと電波なオチ。この…

アンダーグラウンド

狂騒的な音楽を携えて人の男が爆走するオープニングからもう、何が始まったのかという感じ。そのままずっと走り続けているつもりでその実置いてかれてる人達がこしらえた地下の世界はあんなに綺麗で、綺麗すぎて見ていられなくなるのはマルコも観客も同じこ…

ジャック・ケッチャム『オンリー・チャイルド』

ケッチャム先生の著作の中でも『隣の家の少女』の次にヒドい、と噂の一品。やはー面白い! 児童虐待を巡る『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のような不幸裁判劇が思い切りありえなくて、でもやっぱりありえそうで(ここが『ダンサー〜』と違うところ)、バッド…

ジャスパー・フォード『文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!』

なんだかなー。文学がほぼ唯一のカルチャーとして絶大な人気を誇る架空の英国という舞台設定とか、文学刑事局に時間警備隊、奇妙な発明品の数々(言葉を食べるブックワームの糞がセリフに紛れ込む!)に部分的に妙に発達した科学技術などなどの小道具はバカ…

キャプテン・ウルフ

手抜きの見られない良心的なファミリー映画なんだが、大人が観るにはちょっとくすぐりが足りなかったかなーという感じ。アクションシーンはもっとちゃんとしてほしかった。主演のヴィン・ディーゼルはこんな企画でも全く無理が感じられず、悲壮感が漂ってし…

ブルース・オールマイティ

まあ普通のコメディ。ちょっとだけ笑えてちょっとだけホロリとさせられるというちょっとだけ加減が下手に精神状態乱したくないときのコメディ鑑賞に最適。ヌルいコメディ映画って需要あるんだろうし、微笑ましく見られたので文句はありません。 で、どうして…

マイケル・マーシャル・スミス『みんな行ってしまう』

よくわからないヘンな設定が平然と語られた後に暴走したり、そのまんまだったりなお話×12。一時期の『ショート・ショートの広場』を読んでるような気分で読み終えました。適度に不親切で適度に独り善がりで適度に虚しくもワンダーで、楽しい。 集中のベスト…

レイチェル・カーソン『沈黙の春』

これは今読んでも仕方ない本だった。内容には意義があったんだろうけど読んで面白いものでもないし。 せめて化学薬品スプレーによる被害の描写がもっとおどろおどろしければ公害ホラーとして楽しめたろうし、『買ってはいけない』くらいバカならばツッコミ入…

ドミノ

やはりどうしても金持ちのドラ娘(こんな言葉あるだろうか)が安全な所で命の駆け引きごっこをしてるようにしか見えないので、どうにも興味が沸かないまま見終わってしまった。賞金稼ぎ仲間との擬似家族関係が幸せそうに描けていればもう少し説得力もあった…

蝋人形の館

おお、これは悪くないぞ。ダーク・キャッスル作品としては画期的な出来の良さ。もちろんあくまでB級ホラー映画の枠内でよく出来てるってことなんだが、指チョッキンに唇接着、助けようとして肌はがれまくり、などなどイヤ方向に偏ったグロ系描写に力が入って…

井口昇『恋の腹痛、見ちゃイヤ!イヤ!』

あの『恋する幼虫』の井口昇のスカトロ人生の回顧本。すげー!これは凄すぎる。井口昇本人の常軌を逸した変態っぷりと、それをさらに上回るスカトロビデオ撮影現場のギンギラギンに狂いまくった修羅場っぷり!どこを取ってもどん引きと爆笑の狭間を行ったり…

NOTHING

ヴィンチェンゾ・ナタリの新作はなんと「ダメ友情もの」でした。かなりユルユルで志低そうな作りで、笑わせたいのかヒリヒリさせたいのかわからんシーンが連発する有り様にこりゃあダメかも、と思ったものの、結末のつけ方ですべてが許せてしまった。能力以…

今野緒雪『マリア様がみてる いとしき歳月(後編)』

薔薇さま方が卒業なされてしまいました。残される者達の想いを描いた部分はいい加減しつこい気もしてそんなに面白くないのだけど、互いの思い出を微笑ましく思い出しながら去ってゆく薔薇さま方の心情はとても爽やかで、湿っぽくなく、いいなあと思えた。 「…

今野緒雪『マリア様がみてる いとしき歳月(前編)』

黄薔薇さまのキャラがやっと立ってよかったね巻。熊先生とはなかなかいいカップリングなのではないでしょうか。 「いと忙し日々」は送別会の準備が進む様を順々に追っているだけなのに面白い。オチはどうでもいいんだが、その過程で起こる小さな諸問題がさり…

今野緒雪『マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(後編)』

人数は減ったはずなのにむしろカード探しのときよりゴチャゴチャしてる三組のデート模様、が楽しい。普通にほのぼのやってる紅薔薇組の脇でやきもきしてる黄薔薇組、お疲れな取材組、というところも見所だけれど、一組だけ全く別のドラマを進めている白薔薇…

今野緒雪『マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(前編)』

賞品はつぼみとのデート権、というのが冗談にもならないのがリリアン女学園の恐ろしいところだ。とは言え、そのつぼみのカード争奪戦においてそれぞれの思惑でゴチャゴチャ動き回る登場人物の描き方はとても上手で、臨場感が伝わって来る。おまけに脇のほう…

J・K・ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』

気が向いたので読んでみました。魔法学校というこれ以上ないくらいワクワクする設定をロクに活かさず、ガキどもの下品な小競り合いばっかり描写してくれて食傷すること仕切り。エピソードの並べ方もなってなくて、ラストで急に盛り上げようとしてもそれは無…

マイラ・ゴールドバーグ『綴り字のシーズン』

最近こんなんばっかですが、映画版の予告編*1がいい出来だったので公開前に原作を読んでみました。そしたらこれがとんでもない。『ボビー・フィッシャーを探して』のような爽やかな話を期待した僕はもう、ええーっ!という感じ。 端的に言えば、家族崩壊ドラ…

蘇部健一『六とん2』

例えば去年の『暗黒館』や『彩紋家』と同じで、こんなもん楽しみ方がわかっている人しか買わないし、読まないはず。なので商品としては全く文句が付けられない。みんなも例によってあとがきとか著者近影にハァハァしたんでしょ?それで正しい。 一応ミステリ…

ステルス

さすがに大画面で観ると迫力がありました。予告編でも印象的だった円形爆発のシーンとか、パラシュート落下のシーンなんかはすごい緊迫感。肝心の無人ステルス機がなんだかヒョロヒョロしててあまりカッコよくなかったり、無駄に人の生き死にの扱いが軽いス…

ハートブレイカー

『ロミー&ミッシェル』の監督の二作目なのだけど、あの映画みたいな特殊コメディに無理にストーリー性を持たせようとして失敗、という感じでちょっと締まりがない。でも、一応ギャグがストーリーに乗っていて笑えるし、安くて滑稽な人間達が安いなりに真っ…

六塚光『タマラセ 鉄仮面はメロンパンを夢見る』

もうこのシリーズ追わないつもりだったのになあ。試験勉強中につき軽いものが読みたくて、惰性で買ってしまった。今回は定番の「チカラが使えなくなっちゃった」ネタなんですけど、その美味しいシチュエーションを活かそうとせずにすぐに次の展開に繋げちゃ…

恋愛小説家

ジャック・ニコルソン演じる主人公の小説家は強迫神経症の上に偽悪的な人物なので、ひとたび他人とコミュニケーションを取ろうとするとそこにはたちまち気まずい雰囲気が立ち現れる。でも、その気まずさが何故かキュートなものだから、見ているこっちはなん…

伊坂幸太郎『死神の精度』

『100万回生きたねこ』みたいなオチだったらどうしよう……と不安に身を震わせて読んでみたものの、さすがにそこまであざといものではなかった。と言うか、あらゆる面であざとくなってしまうのを慎重に避けるような書き方がされていて、これは巧いと言わざるを…

シン・シティ

あー、だからこういうナルシスティックな男の戦い話は苦手なんですよ。滅茶苦茶に凝った画面も『スカイキャプテン』と同じで30分もすれば慣れてしまうし。とは言え、まあ全体として新鮮な体験と言えないこともなかった。 役者はベニチオ・デル・トロが最高。…

ルパン

ミステリ系サイト周辺でも観てる人少ないのがふしぎふしぎ。でも、凄まじく出来が悪いのでこれから観ようと思ってた人は観なくていいです。題材が題材なわりにどっから見てもB級なんだが、展開が早すぎて退屈はしないのでまあ許せるかな……と思ってたら上映時…

ここからまた更新量が減っていきます。

黒武洋『半魔』

この本自体はどうでもよかったんですけど、著者略歴に書いてあった『そして粛清の扉を』が韓国で映画化進行中という話が聞き逃せない。企画成功を祈ります。 で、中身はほんとにどうでもよい。半魔の女子高生達が魔族を相手に戦う超能力アクションなんですけ…

アバウト・ア・ボーイ

原作者と監督と主演男優の幸福な出会いという感じで、それぞれのいい所がきっちり光って見える。ニック・ホーンビィ原作なので例によってダメ男の話なのだけど、『ハイ・フィデリティ』のときのような「いい気なもんだ」感はなくて、甘いエンディングに心地…

サンキュー、ボーイズ

安っぽい哀しみに溢れた女性の一代記。これは世評通り、主演のドリュー・バリモアはかなり危なっかしいものの、助演陣が最高。僕は終始バリモアの夫役スティーヴ・ザーンに釘付けでした。黒髪で、出て来た瞬間は二枚目(半)に見えるという珍しい役柄にもう…