恩田陸『麦の海に沈む果実』

なるほど。これは確かに唯一無比。恩田陸の人気の所以がわかった気がしました。耽美で不穏な女学生の学園生活を散々描写した後にそれを全部台無しにするオチをつけて平気な顔でいるあたり、『白い花の舞い散る時間』みたいで好き。結末に至るまでの主人公の体験は要は全て嘘っぱちであり、作り物であるんだが、だからこそ綺麗であったりもする、と言うか、女学生の生活が綺麗だなんて、作り物の世界の中でしかありえないことなのよ?という提示の仕方が好き。どうせならあの謎の転校生のバックグラウンドみたいな俗っぽいオチを大量に詰め込んで、もっと台無しにしてくれてもよかったんだが。
で、『三月は深き紅の淵を』はまだ未読なんですが、これを読んだからには読んだほうがいいんでしょうか。そもそも事前に読んでおくべきだったのか?