今野緒雪『マリア様がみてる イン ライブラリー』

バラエティギフト』に引き続く短編無理矢理繋ぎ形式の一作。本筋の祥子さま消失事件のバカミスまがいの真相も面白かったし、各短編の出来もなかなか。「チョコレートコート」で描かれる悲劇の予感は切なくも不穏で良い。特に、二股を掛けられた妹もまた事態を察しているというくだりが良いな。
それから、「図書館の本」はまたもトリック仕掛けの作品。同性間における痺れるような恋慕の目覚めと、世代を渡る因縁が同時に描かれていてなかなか味わい深い。「ジョアナ」は普段よく見えない瞳子の内面を描いた作ということで意義がありますね。