シリアナ

なーんかなー。目まぐるしく移り変わる多視点からのわかりにくい語りに反して、最終的に伝わって来てしまうメッセージはかなりストレートなんだよな。要は「青い理想が潰されてしまうこの虚しさ」ってことなわけでしょう。すごい腰砕け。シビアなリアル志向ぶってるわりにマット・デーモン演じる商社マンがビジネス・チャンスを手にするその経緯に納得いかなかったりもして、いろいろ徹底されてない印象。もうちっと芯を通してほしい。
この映画でアカデミー助演男優賞を獲ったジョージ・クルーニーはいちいち芝居がかった演技で、やはりシリアスすぎる映画には向かないのじゃないかと思う。代わりに(?)黒人弁護士役のジェフリー・ライトがカッコよく、アラブ系青年役マザール・ムニールが可愛かった。他、出番の少なさのわりに重要な役柄のティム・ブレイク・ネルソンの演技が思いっきり周囲から浮いていて笑えたり、クルーニーの息子役で1シーンだけ出演のマックス・ミンゲラ君が例によって童貞臭くて目を引いたりしました。