アニー・プルー『ブロークバック・マウンテン』

例のアレの原作本。短編集から一篇のみ訳して文庫で出版ってすごい売り方。まあいいんだけど。まず訳文について言っておくと、訳出できなかったニュアンスをカッコ内に注釈入れて補足してる箇所が多すぎてわりと興醒め。ただ、訳者あとがきで述べられている映画との比較なんかは結構参考になると思った。まだ映画観てないからはっきり言えないけど。
で、話はわりと王道の死にネタ。記憶の中の恋が鮮やかさを失っても、そこから“卒業”しようとしない主人公の描き方が後ろ向きで感傷的すぎるか?と思いつつ、そういうところはわりと好き。主役カップルの性格の微妙なズレが徐々に見えて来るあたりも結構巧いかも。切ないゲイ小説をお求めならまあ悪くない部類かと。背後からの抱擁と、シャツを見つける場面の二つは名シーン。