フィリップ・クローデル『リンさんの小さな子』

まず言っておくと、やおい的にはあまり美味ではありませんでした。爺さんと中年の心の触れ合い、ということでちょっと、いやかなり期待したんだけどなあ。そういう話ではなかったのですよ。不憫な爺さんに慈しみを抱く、という点で中年と読者は同じ立場だったはずなのに、ラストに至って読者だけがその位置から追われるという意地の悪い趣向になっていて。
結局、爺さんの境遇にも、二人の男の切ないすれ違いにも、憐れみをかけることしかさせてくれないというあたり、かなりヒドい話じゃないかという気がする。一体どのへんが感動作?