ジェレミー・ドロンフィールド『サルバドールの復活』

長々引っ張ったわりに大したことないオチで腰砕け、という感じが強くて、でもこの腰砕け感を楽しむべき作品なのかもしれないと思ったりもする。そこかしこで無造作に挿入される過去の挿話がまたいちいち印象に薄くて、つまらないわけじゃないんだけど楽しくないなあ。ちょっと面白かったのはサルバドールさん家の家庭の事情くらい。四人で同居してた女同士の仲なんてもっとドロドロでいいのに。
というわけで、個々の挿話や引用はクドいくらいやってほしかった。暴走してほしかった。ラストで明らかになるある仕掛けはほとんど無意味で逆に面白いかも。