ジャック・ケッチャム『オンリー・チャイルド』

ケッチャム先生の著作の中でも『隣の家の少女』の次にヒドい、と噂の一品。やはー面白い! 児童虐待を巡る『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のような不幸裁判劇が思い切りありえなくて、でもやっぱりありえそうで(ここが『ダンサー〜』と違うところ)、バッドエンドへと突き進む人々を心の中でギャーギャー叫びながら、でも黙って見守るしかないというこの不快感! まさに巧みの技と言えよう。
最後の最後のアレは個人的にはあまり効果的でないと思ったけれど、アダルトチルドレンとか虐待の連鎖みたいなものを嘘臭くなく見せていてさすがだなーとも思った。そしてまたルースという名の女が! 『地下室の箱』にも出て来るらしいので楽しみにしたい。