ジャスパー・フォード『文学刑事サーズデイ・ネクスト1 ジェイン・エアを探せ!』

なんだかなー。文学がほぼ唯一のカルチャーとして絶大な人気を誇る架空の英国という舞台設定とか、文学刑事局に時間警備隊、奇妙な発明品の数々(言葉を食べるブックワームの糞がセリフに紛れ込む!)に部分的に妙に発達した科学技術などなどの小道具はバカバカしくて楽しいのだけど、それと主人公サーズデイのヒロイックな活躍がどうも食い合わせ悪くって。
基本的には普通の三十女であるはずのこの主人公は物語内においてハリー・ポッター並みに優遇されたポジションにいて、そのことに自分でツッコミ入れることもしないので、えー、要するに“調子に乗っている”ように見えて鼻についてしまいました。終盤の『ジェイン・エア』内でサーズデイが駆けずり回るくだりでは興奮できたし、『ジェイン・エア』の物語の取り込み方もなかなか笑わせるんだが、うーん、やっぱりどうにもね。