アメリカン・ビューティー(背景色でのネタバレ含)

徹底的に蔑まれてる父親ケヴィン・スペイシー、仕事でも性的にも欲求不満な母親アネット・ベニング、楽しいことなんか何もないって顔の娘ソーラ・バーチの三人家族はとっくに崩壊していて、でも崩壊してないと思い込むのにもうウンザリ。と言うわけで父親を筆頭に現実逃避的自暴自棄な行動に走り出す三人。いろいろとムチャクチャをやるが……というお話。
これはどうしたものやら。場面の並び方には緊張感があるし、映像も(CGの使い方は微妙な気がするけど)雨の中の赤いドアの色を始めとても美しい。ただ、このドラマをどう解釈すればいいかってことにすごく悩ませられて、しかもそれはあまり気持ちの良くない悩みであったりする。「結局、普通の家族の普通の幸せが一番なのだからそれに気づきなさい」ってことでいいの?ラストの悲劇もその“普通の幸せ”に決して参加できない者(=ゲイ)の哀しみが引き起こしたものに見えた。綺麗な幕引きだとは思うけど、少しムカついたのはそのせいか。
キャストは大げさじゃなく全員がピタリと役にはまったいい演技をしている。個人的に最高だったのは隣人の退役軍人役クリス・クーパー!そもそものキャラ設定が巧いってものあるんだけど、それにしても素晴らしく胸を打つ演技で感激。