梶尾真治『梶尾真治短編傑作選 ドタバタ篇 フランケンシュタインの方程式』

まあ(←感嘆詞)、読みやすい。一時間かそこらで読めてしまった。SF的な設定語る部分がすらすら読めて、最後にストンと落ちる、スマートな短編が集まってる本ですね。酸素ボンベの代わりに味噌を積んでしまった!とか、味覚で会話する宇宙人とかの素っ頓狂な設定も含めて職人の仕事っぽい。
でも、すらすら読めすぎて引っかかる部分があまりないのがちょっと物足りないかも。詮無いこととは知りつつも、例えば「ノストラダムス病源体」の吐瀉物糞尿垂れ流し描写を田中啓文が書いてたら……とか考えちゃうんだよなあ。それぞれの短編のオチにしても全般にブラックではあるものの無難な印象が残ってしまうもので、オチ直前が一番面白い気がしてしまうというのもどうかと。
まあこんなこと言ってますが面白いし好きだしお勧めなのには変わりなく。そんな感じで。