ジョン・ソール『踊る女』

引き続きソール本。わりあいゴシック調で、でもほんのちょっとだけ下品なところがソール節。これまた因縁と愛憎に導かれて狂ってゆく女が物語の中心にいるのだけど、この女のトラウマが全てはっきりとは説明されないのがいい感じ。このほうが怖いし、切ないよな。クライマックスで男女が時を越えた再会を果たすシーンなんかとても泣ける。
ただ、屋敷の中で繰り返される暴虐の描き方はもっとおぞましくてもいいと思った。チェアリフトに綱を結んで……のくだりなんかはなかなか気持ち悪い絵が見えて好きなので、こういうのがもっとあれば満足だったのだけど。