ジョン・ソール『運命の町』

ジョン・ソールをどんどん読んでみる試み。始まり。「恐怖の金太郎飴作家」なる異名を持つほど同じパターンを使い回すソールのことですから、こちらもまた「引き合わせられた義理の家族がギクシャク」していった末に「主人公が身に覚えのない疑惑によって立場を悪くする」話だったりして、でもそこに「超能力者の悲哀もの」(『ファイアスターター』みたいな)の要素が付け加わっているのが面白い。伏線の張り方にちょっと問題があるものの、なかなかツイストの利いた展開に終盤までハラハラが持続した。
ただ、ラスト直前に普通のサスペンスっぽい意外な真相を持って来てるのはどうか。これはそこまで積み上げて来たホラーな雰囲気を壊してると思う。だって、面と向かって悪意をぶつけてくる相手なんて怖くないじゃないの。ちょっと違うよな。ほとんどサイコの域に達した暴力男の心理描写には例のごとく迫力があって好き。