ミュンヘン

主人公たる暗殺チームが最初に勢ぞろいした瞬間からちゃんとチーム然として見えるのが良かった。見た目のキャラ配分もちょうどいいんじゃないかと思う。で、彼等が素人臭くビビりながら暗殺をこなしていく序盤はかなり面白くて、一般人を巻き込んじゃって精神的ダメージを負う酷な展開をしっかり楽しめた。特にあの電話爆弾のくだりなんかは嫌な感じにスリル満点で最高。
ただ、後半に入ると、次々と鬱に侵されてゆく暗殺チームの面々の言動にあまり説得力が感じられなかったり、死亡フラグ→死亡の流れが乱暴すぎたりでちょっと落ちる感じ。テーマはよく伝わったんだが。グロ方面の描写は全体的に秀逸。頬を撃ち抜く銃弾やらぶら下がってグルグル回る腕、仕込み銃で銃殺!というあたりが特に好き。
シリアス文脈にまで苦労人キャラを持ち込んだ主演のエリック・バナはおそらくキャリア中最高の当たり役。と言うか、これは「バナはこう使え」映画ですね。役柄の都合上しょっちゅう着替えるのを見ているだけで楽しい。まあなんだかんだでエプロン姿が最強なんだが。マチュー・カソヴィッツは例によって必要以上に可愛いし、ダニエル・クレイグも意外に浮いてないしで、前述の通り暗殺チームのキャスティングは完璧。