単騎、千里を走る。

高倉健の不器用さが言葉の壁を越えて人の心を動かしてゆく様がなかなか感動的。携帯電話を通じて通訳してもらったりするもどかしい展開はほとんどコメディみたいで面白い。特にビデオレター(?)のシーンはすごかった。言葉が通じないゆえに気持ちが通じてしまうという不思議なことが起こっていて、きちんと説得力がある。
ただ、後半に入るとあざとい泣かせ演出を多用した普通の映画になってしまっていまいち。その“あざとい泣かせ演出”の巧さが並みじゃないんだが。チャン・イーモウ、例によって素人や子供の使い方は巧すぎ。何考えてるんだかよくわからない中国人ガイドチュー・リンが特に良かった。それに引き換え日本パートの寺島しのぶのクサい演技はひどかった。言わずもがななことばかり説明する一人称ナレーションも邪魔。