霞流一『サル知恵の輪』

ときどき、ふと読みたくなる霞本。こちらは最新刊。今回はどうもバカミス*1が弱くっていまいち。見立て殺人の本当の意図にしても、馬鹿馬鹿しいというよりはむしろ「勉強になるなあ」なんて思わされてしまうし、騙りのトリックも無茶なだけという感じ。長々と引っ張ったわりにこんなオチじゃなあ。
ただ、それでもあまり腹が立たないのは、引っ張り方がわりあい巧いから。関係者への聞き込みやら何やかや、全ての会話がいちいち漫才と化してしまう気の抜けたユーモアは好き。舞台となる鉄板焼きの町で主人公が食すモノたちの描写も実に美味しそうで良い。特に焼きうどんが美味しそうだった。今度食べよう。

*1:「ばかみすりょく」と読んでください