海堂尊『チーム・バチスタの栄光』

第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。選考委員の興奮ぶりに違わぬ傑作でした。バチスタ手術の名チームの微妙にぎくしゃくした関係が、対照的な二人による二度の聞き込みによって次第に見えて来る構成がまず面白いし、術中死やクライマックスの犯人指摘の場面には緊迫感がガガッとみなぎる。おまけに主から脇まで一人残らず嫌味のない名キャラが揃ってると来たら。白鳥という傍迷惑で頭の切れる変人役人のキャラの使い方は特に巧い。
さらに褒めておきたいのは、大学病院の腐敗という問題を扱ってるにも関わらず、一方的に悪人とされる人が一人もいなくて、システムそれ自体が批判されてる点。それに、故意による術中死という気が滅入るネタを包み込むように、粋な人達の出し抜き合いで爽やかにラストを飾って見せたところ。いや、本当に読後感は爽やかでしたよ。大した新人だ。