横山秀夫『震度0』

なんだこのオチは。県警重要人物の失踪事件にあたって、自己保身とより良い天下り先の確保“だけ”を考えて奔走する幹部達の俗物っぷりが読み所なんだが、最後の最後に性善説的なオチがついて全部台無し。そもそも、刻々と変化する幹部達の対立の構図に情報戦のほうの展開が追いついてない感じがあって、どうにも息詰まる攻防って感じがしないのが不満だ。
どちらかと言うと、面白かったのは幹部達の妻達の間で繰り広げられる情報戦、及び公舎の人間関係の乱れっぷり。夫に負けず劣らず俗物で、どこか空恐ろしかったりする妻達のやり取りがいい感じ。幹部達についてもキャラの描き分けは悪くないんだけどなあ。勿体無い。