吉村萬壱『バースト・ゾーン―爆裂地区―』

なんて素敵なディストピア。得体の知れない怪物の群れが通りすぎた後に残ったのは、「意味を志向しすぎる人間も、しなさすぎる人間も、どっちにしろ醜い」というような。そんな笑える事実でしたよ。戯画的なのに生々しく、グロいのに臭みが無い描写の積み重ねの圧倒的な強さでもって、人間性なんてロクなもんじゃないのよ、と語ったこのお話が好きです。世界の仕組みに意外性があればもっと良かったんだけど。
神充の管の働きがもたらす性的興奮を証明しようとした男の吐いた、「ドンと来たら、ピンッだ!」というセリフが気に入って、今頭の中でグルグル回ってます。