米村圭伍『風流冷飯伝』

新刊読むのに疲れたので読んでみました。面白い! ですます調の柔らかい文体がすごくキャッチーで読みやすく、加えて主役格の二人、幇間の一八と冷飯食い*1の数馬のキャラがしっかり立っているのでどんどん引き込まれる。どかーんと盛り上がるクライマックスを欠いたストーリーながら、さり気ないエピソードの積み重ねで四国の小藩の冷飯達の「我慢も楽しく」の精神を描くこの書きっぷりは巧いなあ。しみじみ楽しみました。
ちなみに、(年上だが目下の)一八と(年下だが目上の)数馬の絡みはその筋の方々にも十分お楽しみいただけるものかと存じます。腐女子腐男子諸兄は要チェック。あと、解説を大崎善生が書いていて、将棋の話ばかりしているのに笑えました。

*1:武家の次男