遠藤徹『弁頭屋』

『姉飼』は未読なので、この作家の本を読むのは初めて。日常の中にシュールでグロテスクなモノが当然のような顔をして紛れ込んでいる、という作風なのかなあ、そういうのは好きだ。と思って一冊読み通してみると、そういう収録作ばかりでもなかった。というわけで、その傾向が一番強い表題作をベストとしたい。グロ弁当の紛れ込み方と違和感がとても美味。ただ、脳みその使い道云々のオチは上手くない。
他、「赤ヒ月」の食う者食われる者のセクシャルな交わりも好き。しかしネタの扱い方が耽美寄りなのかジャンク寄りなのかははっきりしてほしかった。ピンクのダニで埋まってゆく世界の終わりを描いた「桃色遊戯」は、今ひとつ強い絵が見えてこない感じ。これまた勿体無い。