ハーブ・チャップマン『カインの檻』

事件の発生から犯人の逮捕を経てその犯人の処刑まで。ストーリーの展開にはほとんど重きを置かず、サイコパスの心理の異様さ、そしてその異様さに翻弄される人々の描写だけで全656ページを保たせるこの力量は結構すごいかも。特に、サイコパスがその心の奥に抱えたトラウマをいかに強く封じ込めているか、というところの描き方には迫力があった。よってラストの捻りには呆然。
しかしてつかさんの予想*1に反して、各所年末ベストにほとんど絡んでないのは確かに不思議かも。あ、でも文春のベストがまだ残ってるのか。そこか。