友桐夏『春待ちの姫君たち』

あれ? 意外と普通な……。前作『白い花の舞い散る時間』がほとんどバカミスだっただけにその方向を期待してしまったせいか、若干期待外れ。とは言え、前作と同じく、ダークな面も含めて徹頭徹尾「少女小説」であり続ける強さは感じられた。その分感情移入がしにくいのだけどね。作中劇とのオーバーラップ具合はまあまあ面白い。
それから、前作でも同じことを思ったけれど、特にラストのあたりではもっと力強い「絵」を見せてほしい。いまいち絵が立ち上がってこない感じがしてしまいますよ。