保科昌彦『ゲスト』

作者は日本ホラー小説大賞長編賞を取った人で、今回初めて読みました。で、あんまり面白くなかった。狂気の伝染をテーマにしたJホラー風の筋立ては確かに結構怖いし、どんどん絶望が増して来る展開も緊張感があって悪くないんだが、肝心の“狂気の伝染”の元になるモノの描き方に禍々しさが全くなくて困った。当然捨てネタだと思ってたのにそのまま終わってしまってびっくりですよ。
卵の夢や奇妙な白昼夢だけじゃなく、あの場所そのものを怖がらせてくれればなあ。まあ他の部分はそんなに悪くないので、次回作は読んでみるかも。