西條奈加『金春屋ゴメス』

第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。うーん、『太陽の塔』→『ラス・マンチャス通信』と来てこれかあ。いや、決して面白くないわけじゃないし巧いのだけど、「近未来、江戸時代そのまんまの暮らしに浸る江戸国が日本から独立!」という奇天烈な設定からすると拍子抜けするくらい普通の捕物帖で、義理と人情はわかったからもっとファンタジックにしてよ、と言いたくなった。日本国からやって来た主人公達が、スローライフにほだされていともたやすく江戸国に溶け込んでしまうのもつまらん。
無闇に多い登場人物をきちんとさばいて動かせているし、ゴメス親分のキャラ設定は面白いから、シリーズ化は容易に果たせそう。きっとやるんだろうなー。