沼田まほかる『九月が永遠に続けば』

ああ、また『孤虫症』みたいな、イヤな感じに“女”なキャラクターばっかり出てくる鬱陶しくて下品な話を読まなければいけないのか……と沈んだ気分で読み始めたものの、そうでもない風に展開してくれたのでよかった。主人公を始め、登場人物が逃げたり甘えたりしすぎないせいか、ヒドいことばかり起こるわりにラストシーンが妙に爽やか。
わりとわかりやすいストーリーのわりに安っぽくなっていないのは、随所に配置された大量のレッドヘリングのせいか。この配置の仕方がすごく具合のいい感じ。