新井政彦『ユグノーの呪い』

患者の記憶に潜り込み、トラウマを発見して書き換えるヴァーチャル記憶療法士が活躍する近未来。しばらくスランプに陥っていた療法士の健吾は、旧友の礼子から誘いを受け、メディチ家の末裔である少女の記憶の中へと飛ぶが……というお話。
あらすじから西澤保彦風SFを期待して若干ワクワクしながら読み始めたら、おいおい、ちっともミステリじゃないぞこれ。魅力的な設定が皆無の異世界ファンタジーと死ぬほどどうでもいい負け犬再生ストーリーの合間に、時々思い出したように“意外”な展開と出来損ないのパズルを挟んでるだけ。これは本格ミステリファンにもお薦めできないなあ。それに、作者が新人のくせに年食ってる(50過ぎ)だけあってなんだかやたらとオヤジ臭い。お願いだから車のボンネットの形を女の体に例えたりしないで下さい。萎えるっての。
と言うわけで、二作目は読まないでしょう。出してくれる出版社があるかどうかも怪しいけれど。