海を飛ぶ夢

岩場から海へ飛び込み首の骨を折ったラモン・サンペドロは四肢が麻痺し、それから28年間ずっと寝たきりの生活を送って来た。彼は尊厳死を望み、家族や弁護士に協力を求めるが、裁判ではそれがなかなか認められず……というお話。
ユルユルなミステリー映画を撮る監督というイメージのあったアレハンドロ・アメナーバルの最新作がこれ。今までの作風と全く違う、シリアスな人間ドラマに少し戸惑うも、結構いい出来だった。特に前半の動きの少ない展開がしみじみと良くて、タイトルにもある“飛ぶ”シーンの綺麗さにはちょっと感動。でも、後半になるといろいろ盛り込みすぎになってしまうのが残念。少年がワゴン車を追っ掛けるシーンなんてベタすぎて引いた。ラストは綺麗に締めたけれど、(ラストに限らず)音楽が高鳴りすぎ。もっと控えめにお願いしますよ。
主演のハビエル・バルデムは特殊メイクで初老の男に化けての好演。濁った眼の動きがいい。他、主人公の義姉を演じたマベル・リベラという人の控えめな雰囲気が印象に残った。