西澤保彦『両性具有迷宮』

ある夜、コンビニに出かけたお笑い百合SF作家森奈津子は、若い綺麗な娘さんでいっぱいの店内にウッハウハ。とそのとき奇妙な衝撃を受け、帰ってから股間を見るやそこには屹立するモノが!しかも、コンビニにいた娘さん達も同じ目に遭ったよう。しばらくの後、モノが生えたお仲間達が次々と殺されていく事件が発生し……というお話。
『なつこ、孤島に囚われ。』に続く森奈津子シリーズ第2弾。森奈津子を始め、倉阪鬼一郎だの図子慧だの牧野修だのが変人キャラとして登場、という趣向にも何かもう新鮮さがなくて、結局いつもの酩酊推理じゃん、という印象。とってつけたようなオチには説得力が皆無。森奈津子パスティーシュとしてはもっとダメ。問題提起したり“声高に訴え”たりしすぎ。終盤で絶対的な“悪人”を登場させちゃうセンスもなー、こういうのモリナツの作風と正反対だと思います。なんだか不満が溜まってしまって、今、無性に『西城秀樹のおかげです』が読みたい。読もうっと。
あ、忘れてた。一番の不満は「射精するたびに消えて、眠るたびに復活する」っていう擬似ペニスの設定がミステリ小道具として活かされなかったことなんですよ。ここを巧ーく使うのが西澤だろうに。あーあ。