ハサミ男

※映画のネタバレはありませんが、原作のネタバレを含みます。
男と二人、ハサミを使った猟奇殺人を繰り返す主人公・知夏。しかし、彼女等の前にある日一つの死体が現れる。まるで自分達が関わったかのようなその死体を見て、真犯人を突き止めることにした彼女等だったが……というお話。
第13回メフィスト賞受賞作の映画化。結果的に原作のネタバレになっているという点では罪の重い映画だけど、そんなに悪い出来じゃないと思います。と言うか、面白かったよ、これ。シュールでちんまりとした画面構成と、ダサさの配分がちょうど良くて、まるで出来のいい学生映画みたい。あからさますぎる伏線と身も蓋もない真相の明かし方が災いして、ミステリ映画としてははっきり出来が悪いと言えるんだけど、ラストの処理を見ると明らかに映画の主眼はそこにないし。そもそも、原作とは違う映画向きのトリックを新たに組み入れてるあたりに苦労の跡が見えるので、あまり貶す気にならない。それに僕原作にそんなに思い入れないしなあ。いいんじゃないでしょうか、これで。
配役はばっちりで、主演の麻生久美子は今まで僕が見た中ではかなり可愛らしく撮られているんじゃないかと思う。その相棒の豊川悦司も良し。重要な役所の斎藤歩は程よく気持ち悪いし、警察署の面々は実に微笑ましい。特に署長役の石丸謙二郎はカッコよくて、ちょっとびっくり。