ジャック・カーリイ『百番目の男』

連続放火殺人を解決して名を上げた若き刑事カーソンには暗い秘密があった。そんな彼の前で連続して起こる謎の猟奇殺人。死体の首が切り取られ、下腹部に文字が刻まれていたことは一体何を意味するのか。彼は同僚と懸命に捜査に当たるが……というお話。
ぎゃふん!さすがにこの“死体装飾の理由”は誰にも見抜けまい。と言うか、このネタじゃ「どうせそんなこったろうと思ったよ」とか言えないよな。恥ずかしくて。いやーそれにしてもこれはすごい。この先余程のものが出てこない限り今年のバカミスベストの座は堅いでしょう。ネタだけ取り出せば霞流一の小説に登場してもおかしくないようなものなのに、それをシリアスなサイコ・スリラーの筋立ての中に置いて一応整合性を保ってるのが偉い。意外に細かく張られた伏線も、爽やかな幕切れも良し。バカミス好きとサプライズ好きは必読。さあ読め。今すぐにでも読め。
ちなみにこの小説、映画化が決定してるらしいのだけど、大丈夫か……?肝心の真相解明シーンで場内が失笑の渦に包まれたりしないだろうか。くれぐれも、巧く作ってほしい。