R・D・ウィングフィールド『夜のフロスト』

毎度おなじみデントン警察署。将来有望なはずの若手部長刑事ギルモアは、配属初日から老いぼれでとにかく下品な警部フロストの下でうんとこ働かされ、おまけに署は流感の影響でとんでもない人手不足で……というお話。
フロスト警部シリーズ第3作。シリーズ最長の分量を誇っていて、フロストとその部下ギルモアが置かれる勤務状況もかつてないほどにハード、おまけに映画化したらさぞ映えるであろうアクションシーンまで用意されていて、盛り沢山、のわりにいまいち物足りない。勿論、モジュラー型警察小説としての出来は安定しているのだけど、何が不満ってこのギルモア君のキャラの立ち方が過去作の同じポジションのキャラ、クライヴ、ウェブスターと比べて弱い。フロストとその部下の間抜けな掛け合いを楽しみにしているファンとしてはちょっとなあ。
ラストのユーモラスな落とし方はイイ。こういうのはやはり巧いですね。