松尾由美『雨恋』

叔母の部屋を借りて住むことになった30歳会社員のぼく。しかし、その部屋には若い女性の幽霊が住み着いていた。姿もなく声だけの彼女に自分の死の真相を探ってほしいと頼まれたぼくは、少し怯えながらも捜査に乗り出すが……というお話。
これは……「しあわせは子猫のかたち」(→感想)ですか?いや、設定が似てるだけなんだけど、あまりに似すぎているもので。ともかく、ミステリとしては、提示される謎の魅力に見合っただけの回答が提示できているかどうか微妙なところ。少なくとも“謎の数字”の意味にはガックリしました。あと、事件の謎を解くある重要なカギが、ある日突然手紙が届いてそこに書いてあるってな示され方もどうかと思いました。ストーリーのほうは、性欲が重要な要素となるわりに主人公にまるで男の匂いがしないのが問題。この人絶対幽霊なんかにムラムラしないと思う。
うーん、どうも松尾由美作品は肌に合わないようだ。これが良かったら評判のいい『ピピネラ』とか『スパイク』も読んでみようかと思ったのだけど。