ジャック・ケッチャム『老人と犬』

ただ一人の終生の友である愛犬とともに釣りに赴いた老人。しかし、そこへやって来た少年三人組は彼に銃を向け、金がないとわかると突然犬を銃殺。高笑いを響かせた。悲しみと怒りに襲われた老人は制裁を求めて行動を開始するが……というお話。
あれー、おかしいな。ケッチャムなのにハッピーエンドだよ!いつまたダニー(鬼畜少年)が襲って来るのか……とハラハラしながら読んでいた僕の立場がないではないか。ともあれ、鬼畜一家の頭のネジの外れ具合(と、そこからもたらされる暴力)はなんとも恐ろしいし、枯れかかった老人が最後の力を振り絞る様はカッコいいしで楽しめるんだけど、やはりケッチャムなのだから、もっと気分悪くさせてほしかった。特に人が死ぬシーンはもっと執拗に描写してほしかったのだけど、ダメですか。
読みやすくて分量もそんなにないので、ケッチャム入門編としては悪くないかも。これ読んで物足りなかったのなら、『隣の家の少女』(→感想)をどうぞ。