ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

テネンバウムズ家の家主ロイヤルは家を出て20年の末遂に破産。末期ガンだと偽り戻って来る。元・天才児の息子達が続々と集まって来たところを見て、彼は同情を引きつつ家族の関係修復を試みる。一方の息子達もそんな中で自らの抱える問題を解決してゆき……というお話。
わりとよくあるストーリーの中に配置されたヘンテコなキャラクターとヘンテコなギャグの、そのヘンテコさもありがちだったりするのだけど、そんなありがちなお話をジャン=ピエール・ジュネみたいな凝りに凝ってちんまりとした画面構成で見せるところが面白い。ジャン=ピエール・ジュネがアニメだとしたらこっちは紙芝居かってなイメージで、暖かみがあってヲタク臭がしない。だから確実に変な映画なのに結構見やすかったりもして。大きな一枚絵のあちこちで同時進行するヘンでなごやかな情景を順々に映して見せた、車衝突後のシーンが特に好き。
ロイヤル役のジーン・ハックマンは完璧。こんなお祖父ちゃんならそりゃあ孫も懐柔されますって。ビル・マーレイの寝取られ亭主っぷりもいい。そして三男役のルーク・ウィルソンの鈍い感じや母親役のアンジェリカ・ヒューストンのやつれた顔までキレイに映されていたのが嬉しい。ベン・スティラーオーウェン・ウィルソンはこんな映画でもいつもと同じなんですね。