ロング・エンゲージメント

婚約者が戦場で消息を絶ったと聞いても、彼の生存を信じる主人公。彼女は様々な人に話を聞き、彼の行方についての調査を進めるが、調査は段々と行き詰ってゆき……というお話。
これはもう、物語は横に置いておいて変な画面と妙に雰囲気のある脇役や小道具だけ観ていればいいという種類の映画でしょう。婚約者の行方が次第に明らかになっていくくだりに一応ミステリ要素があるものの、相当歪で、到底許容できたもんじゃない展開しかしないので、そのへんはやはり、置いておいて。いちいち大胆な動きをするカメラは例えば、一人の男が戦闘機に向かって爆弾を投げ上げる絵面を真上から撮ったりなんかして、面白い。キャラクターについては、若い女がみんな怖いのに対しておじさんキャラがやたらと愛らしい。郵便屋や探偵あたりが特に気に入った。
キャストでは、前述のおじさん俳優達を除けば、婚約者役のギャスパー・ウリエルの頭弱そうな顔と雰囲気が印象に残った。この人はシリアスな映画にも似合いそう。それにしてもこの映画、女性向けラブロマンス映画みたいな宣伝をしておいて、蓋を開けてみたら凄惨な戦場の描写がてんこ盛り。爆音バカーンバカーンに人間グロリンチョで最初ちょっと引きましたよ、僕は。