カナリア

カルト教団ニルヴァーナ”に親子で入信していた少年、光一。しかし、教団が無差別テロを起こし崩壊した後、母は姿を消し、妹は祖父に引き取られ、自分は児童相談所に預けられてしまう。彼は妹を取り返そうと施設を脱走し、偶然であった少女由希とともに東京へ向かうが……というお話。
このニルヴァーナってのが要はオウムなわけで、そういうテーマなわけですが、「(元信者が)俺達何やってたんだろうな」「お前にとってニルヴァーナとはなんだったんだ?」「親は子供を選べるのか?」などなど、直球ど真ん中なセリフが多すぎてちょっと萎えてしまいました。子役の演技がぎこちないのがまたそれに拍車を掛けて。主人公の相当無理な行動が“仕方ない”ものに見えるあたりは悪くないものの、全く違う価値観を持った由紀との間にもそれほど化学反応が生じないのがつまらない。あと、あのラストなあ。子どもに希望を託すお話は好きだけれど、唐突すぎて全然納得できなかったぞ、と。向井秀徳のエンディング・テーマはすごい。
主演の石田法嗣君は美少年然としたところのない老け顔(ヘッドギアが似合う)なのがポイント高いけれど、いかんせん演技が鈍い。由希役の谷村美月はもっとまずい。脇役の光一の母親役甲田益也子、教団の最高幹部の一人役水橋研二あたりはいい感じ。カルト教団の子供教育係を演じた西島秀俊については、ハマり役という概念を超えた洒落にならなさが漂っていてちょっとどうかと思った。この人怖いです。