或る夜の出来事

資産家の娘エリーは結婚に反対する父の手から逃れてニューヨークへ。そこで乗ったバスに偶然乗り合わせた新聞記者ピーターは彼女を気に入るが、彼女が今話題の逃げた令嬢だと気づき……というお話。
元祖スクリューボール・コメディということで、さすがにロマンチックな小道具の配置が巧い。ヒロインが“ジェリコの壁”に脱いだ服を引っ掛けるシーン、股を見せてヒッチハイクするシーンなどなど、脚本の盛り上がりに画面が同調したいいシーンがいっぱい。高飛車なヒロインがすっかり主人公に甘えるようになってしまう中盤はいまいちなのだけど、主役二人の姿さえ見せずにハッピーを映すラストが素晴らしいので良し。でもあのラストは見てる側としては生殺し感があるかも。
女たらしの癖に紳士な振る舞いも見せるクラーク・ゲーブルと、勝気なわりに結構打たれ弱いクローデット・コルベールの主演コンビは安定したいい演技。個人的には二人の恋のキューピッド役になるウォルター・コノリーがなんともチャーミングで好き。