R・D・ウィングフィールド『クリスマスのフロスト』

クリスマスの近づく田舎町デントンで起こった少女の失踪事件。デントン署の名物フロスト警部は下品で粗野な仕事ぶりを振りまきながら部下のクライヴとともに捜査を進めるが、全く別の白骨死体が発見されたりして、捜査はさらに困難を極めてゆき……というお話。
フロスト警部シリーズのこれが一作目ということで、うーんやっぱり面白い。事件がそこかしこで同時多発的に発生するゴチャッとした展開がこんなに読みやすいなんて。それでいて先の展開はさっぱり読めないし。『フロスト日和』(→感想)と同じく、フロスト警部と無理矢理コンビを組まされた新米刑事との間に“相棒”的な繋がりが芽生えそうで芽生えないのはポイント高い。まあでも今作のフロスト警部はいくらか弱みを見せすぎかな。自分語りが過ぎると言うか。
ちなみに今回の新米刑事クライヴと『フロスト日和』のウェブスターを比べると、子供っぽさが前面に出ているクライヴ君はそれほど僕の好みではない。勘違いナルシスト的な要素を持つウェブスターのほうがフロスト警部の下品な冗談とも相性がいいかと。