法月綸太郎『生首に聞いてみろ』

「和製シーガル」の異名をとる前衛彫刻家の娘と知り合う綸太郎。しかし、その直後かの彫刻家が急逝。おまけに遺作となった娘をモデルにした人体像は、首が切り取られて発見され……というお話。
綸太郎シリーズは『誰彼』までしか読んでないので何かとんちんかんな意見になってしまうかもしれないけれど、のりりんは事件と戦った結果もっとボロ負けしてくれないと輝かないと思う。今回もやはりのりりんは事件に追っつかないものの、いくらかはいい勝負をしてしまってるように見え、そんな、(卑小な)のりりんの身の丈に合うような事件が面白いはずもないわねえ、という印象。それに、無神経だったり差別的だったりもするのりりんの性質は、彼を滑稽に描くことがエクスキューズとして働いていたからこそ許せたたのであって、この作品ではそれが野放しになってる感もあり。女性の描き方なんてひどいぞこれ。
というわけで、あんま面白くなかったです。『頼子のために』とか読もうかなあ。