エイミー

ロックスターの父に目の前で感電死されて以来、口がきけなくなった少女エイミー。彼女は母親と貧しい下町に越して来るが、隣の家に住む売れないロックミュージシャンの男が歌を通してならエイミーとコミュニケーションできると気づき……というお話。
少女が歌を通して父の死を乗り越える筋立てがいまいち出来の悪いぶんだけ、サブプロットの少女の家族と少女の歌に元気付けられる隣人達の触れ合いを描いた部分に暖かみがあっていい。ただ、どうせなら隣人達にもう少し細かいキャラ付けをしてほしかったし、彼等が少女と打ち解けていく過程をもっと丁寧に描いてほしかったけれど。
少女と話すために隣人達がいちいち歌う破目になるというミュージカルのパロディみたいな趣向(警官隊は「エイミー出ておいで〜♪」と合唱しながら少女を捜索し、心理学者は「これは何に見えるかな〜♪」と歌いながらロールシャッハ・テストをする!)は楽しいのだけど、これももっとやりすぎなくらいで良かった気がする。
主演のアラーナ・ディ・ローマはマセた歌い方が様になっていて巧いし、仁王立ちみたいな変なポーズを多用して不思議な存在感を見せる。お隣のロック兄ちゃん役のベン・メンデルスゾーン(うわ、こんな名前だったのか)は押しの弱いルックスがいい方向に働いてとても感じがいい。あと、公文式のCMソングってこの映画の主題歌だったのな。知らなかったー。