田中啓文『天岩屋戸の研究 私立伝奇学園高等学校民俗学研究会』

スリムな体形ながら体重220キロ、大食らいでデブ武道の使い手のヒロインが遭遇する伝奇絡みの事件を民俗学研究会の面々が駄洒落で解き明かすシリーズの三巻目にして最終巻。例によって連作短編の形式をとってます。
ヒロイン・比夏留ちゃんのアホっぷりが気のせいかいつにも増して際立っていて可愛いし、二重人格少年保志野くんは決めるとこ決めてくれるしで、今までとなんにも変わらず、でもそこが楽しい、理想的な最終巻だったんじゃないかと。ラストは直球ラブコメな展開で、(田中啓文作品にも関わらず)胸をギュンギュン言わせることができます。
集中のベストは最終話を除けば「雷獣洞の研究」。駄洒落乱れ撃ちのオチが素晴らしい。特にあの“骨”の正体には倒れ伏しそうになりました。やっぱりこういうのこそ田中啓文だよなあ。