浦賀和宏『松浦純菜の静かな世界』

謎の連続女子高生殺人及び解体事件が発生中の町。強盗事件を奇跡的に生き延びたイジメられっ子八木剛士は、ケガの療養後久々に町に戻ったという松浦純菜に引っ張られ、事件の謎を追うことになるが……というお話。
これはかなり好きですね。だって名探偵とワトソン役の関係を『アンブレイカブル』(M.ナイト・シャマラン)のあのオチを思わせるような形に収束させてるんですよ!グッと来ずにいられない。サイコなキャラ達を欲張りせず地に足の着いた(痛々しい)描写で描き出し、それでいて不思議な居心地の悪さを提供してくれるいつもの浦賀節も好調。この作家も上手いことカッコつけを回避できるようになったんじゃないでしょうか。今後も期待。
しかしこれって、前作『透明人間』(→感想)に引き続き悪質な冗談と取るべきなんだろうなあ。ラストの書きっぷりはどう見ても「いやまさか本気じゃないですよゲヘヘ」だもんなあ。と言うか、それが浦賀の成長か。そこがユヤタンと違うところか……。