アレキサンダー

マケドニアに王の息子として生まれたアレキサンダーは、父が暗殺されたその日から王となり、母の強い影響から抜け出せないまま遠征を続け、各地にアレキサンドリアを建てていくが、次第に仲間の信用を失ってゆき……というお話。
期待ゼロ(それどころかマイナスかも)で観に行ったので、いくらかでも楽しめたというだけで満足してしまった。過剰なまでに登場人物のキャラを立てようとしてた『トロイ』なんかに比べると、人物造形は物語の流れに任せて行こうという感じが好ましいし、戦闘シーンはみんな平等に映して陰惨な中にもスポーツっぽい爽やかさを含ませる感じも悪くない。でもまあ、観終わって面白かったかどうかと言うと、やはり面白くはなかったんだけど。アレキサンダーにどの程度まで同情してどの程度まですごいなあと思えばいいのか最後まで伝わらないし、戦闘シーンが良かったのは対ペルシャ戦だけだった。
あとは、やっぱり主演のコリン・ファレルに金髪とマケドニアルックが強烈に似合わない。彼お得意の“濡れた仔犬の目”を繰り出すシーンではそれなりに魅力的ではあるのだけど、怒鳴ってばっかりじゃなくもうちょっとショボーンとさせておけばこの人の特性が引き立つのに。他の出演者では驚いたことにヴァル・キルマーがいい。腹が出て野蛮だけど弱さも併せ持つフィリッポス王役に違和感なく嵌って、本来の意味でコスチューム・プレイをしてる感じ。あとのみなさんはほんと、お疲れ様でした。