レイクサイド マーダーケース

湖畔の別荘で催される娘のお受験合宿に駆けつける主人公。そこに集った三家族の間には奇妙な空気が流れていた。そんな中、彼の愛人である女性が招かれざる客として別荘を訪れるが……というお話。
東野圭吾『レイクサイド』(未読)の映画化ということで、絶望的で不穏なのに怪しい安らぎがあるオチはいかにも東野っぽくて面白い……のだけどそこまでがダメすぎ。非常事態に直面しても落ち着きを見せる面々の不気味さ、それに戸惑う主人公、を描写する部分が一本調子に延々と続くので途中で飽きます。しかもそれだけ引っ張っておいてどんでん返しは一瞬で済ませるもんだから説得力が欠片も無い。なんだこの配分のバランスの悪さは。それに構図とか光の当て方とかに緊張感が無くてなあ。青山真治ってこんなんだったんだ。
キャストは概ね可哀想な使い方をされていて、特に悲惨なのが別荘の持ち主役の柄本明。映画が要求する技量からはみ出た部分を無理矢理引っ込めているようで、物凄く窮屈そう。巧いのになあ。その点主演の役所広司は無難にこなしていて器用な感じ。と言うか、役所以外は全員安く見えるという役所一人勝ち状態。子役三人の不気味な顔立ちは良かったけれど。あと、鶴見辰吾杉田かおるが夫婦役というキャスティングは何のネタか知らないけど、それにしても鶴見は下手すぎだ。