氷川透『各務原氏の逆説 見えない人影』

無気力な十代の典型である暮林晴海はひょんなことからサッカー部のマネージャーになることに。オタクな兄の受け売りサッカー理論で部の向上にそれなりに貢献し、ポジションを楽しんでもいたが、ある日部のエースが失踪するという事件が起こり……というお話。
各務原氏の逆説』(→感想)に続くシリーズ第二弾。何かズレた(と言うか、下手な)描き方をされている若者キャラがミステリの中で何らかの役割を受け持つことによって最後にはちゃんと若者らしく見えるようになる、というところが面白かった前作ですが、今作は最後まで主人公等に感情移入できないダメ学園物でした。ミステリとしてのネタがつまんないのは前作も同じだからいいのだけど、探偵役の不謹慎さ問題やら動機決め付けはいかんよ問題がスルーされているのはどうしたの?押し付けがましくなっちゃってまあ。
氷川透本人も書いてるけど、「音楽」「サッカー」という二大趣味をネタとして使い果たした今、シリーズ第3弾では何部で事件を起こすつもりなんだろう。やはりここで大本命の推理小説研究会でも出すのか。あと、表紙折り返し部分のあらすじ紹介で主人公の名前が思いっきり間違われてる*1のはさすがに不憫だと思った。

*1:「栗林晴美」との表記。