筒井康隆『富豪刑事』(背景色でのネタバレ含)

大富豪の息子という特殊な性質を持つ刑事神戸大助は今日もその性質を利用して捜査に大きく貢献するが……というお話四篇を収録した連作短編集。
別にドラマ化したからってわけでもないんですけど今さら読みました。そして当然のごとく面白かったわけです。暴力団を一つのホテルに集めたいけどどうしよう?→そうだ、他のホテルを全部貸し切っちゃえばいいんだ!に代表される富豪刑事のムチャクチャなやり口もさることながら、登場人物や地の文がやたらと読者に干渉してくる人を食ったメタな趣向も面白い。全編がブラックなギャグに溢れながら軽く読めるので、ドラマで知った人もササッと読んで楽しんじゃえばいいと思います。
で、あれですよ。これシリーズ最後の一編になって思い出したようにキャラ紹介始めるとこがまたニクいですね。不毛だと知りながらも刑事さん方に胸をときめかせずにはいられない。富豪刑事は別格として、僕は狐塚刑事が好きです。