巴里の恋愛協奏曲

実業家の夫との裕福な生活、そして愛人との火遊びをも楽しみながら優雅に日々を過ごす美女ジルベルト。しかし夫の新たな契約相手はなんと昔の夫だった。結婚歴を隠している彼女は妹とともにてんてこ舞い。愛人に思いを寄せる若い娘まで巻き込み、事態はさらに混乱するが……というお話。
パリで昔流行ったオペレッタの映画化ということで、刺激的な試みなんかは全くないものの、ミュージカルだのなんだのに対してウブな僕には愉快な時間潰しになって満足。さすが人気作だっただけあって劇中歌われる曲の出来は良くて、三人の娘がつまんなそうに歌うオープニングから上手いこと音楽に乗せられてしまう感じ。男女7人が最終的にカップル三組と余り一人になるお話のほうも先が読めすぎず軽快で悪くないかと。
とは言え、出演者については言いたいことが山ほどあります。いやー何このキャスティング。余り者の道化役のダニエル・プレヴォーは歌も立ち居振る舞いもチャーミングで全く文句ないのだけど、他はちょっと。“老いてなお美し”くないといけない主演のサビーヌ・アゼマからしてギスギスしすぎだし、何よりヒドいのが若いツバメ役のジャリル・レスペール!なんでこんなどこぞのハンマー投げ選手みたいな顔の奴が二枚目役をやってるんだ!出て来た瞬間目を疑いましたからねほんと。他、夫役のピエール・アルディティはこちらは正統な二枚目ながら歌と身のこなしががちょっと鈍重。妹役のイザベル・ナンティは“タチの悪い老け方をしたリース・ウィザースプーン”ってな顔で怖いのだけど意外に魅力的。若い娘役のオドレイ・トトゥは……あっ、出てたんだ?ってなくらい存在感なし。