別役実『コン・セブリ島の魔法使い』

コン・セブリ島に住むという魔法使いワレガミ・ド・コロンに会いに行くため、トマカンテ君は出発した。サルのガイドに惑わされたり魔法使い嫌いの住民達に嫌な顔をされたりしながら、トマカンテ君は島の底へ底へ進んでゆくが……というお話。
こんなの復刊してたのか!『おさかなの手紙』(→感想)に収録されてたので既読だけれど、スズキ・コージの挿画が素敵で買ってしまった。お話のほうは例によって優しくもどこか寂しい不条理譚で、随所に現れるヘンテコなネーミングとヘンテコな小道具(サルを大人しくさせる月夜草の砂糖漬け、とか)が楽しい。オチもすっとぼけてて、でもやっぱり寂しくて、いいなあ。
これを機にこの人の童話集の復刊が進んでくれると嬉しい。